子宮頸がんpivot office
セカンドオピニオン外来
子宮頸がん、膣がんの無料相談外来を新設いたしましたのでお気軽にご相談ください。
ただし、資料もしくは検査結果を御持参頂いた方限定の30分以内とさせていただきます。
悪しからずご了承ください。
子宮頸がん
原因はHPV(ヒトパピローマウイルス)であることをH.zur Hausenによって突き止められ、WHOがその100%感染からと認めた最初のがんであります。
国内での2021年度患者数は29,136人で死亡者数は6,818人と報告されています。国外ではアフリカに多く、世界では年間3億人のHPV感染者が出ると予想されています。現在の状況が続けば、今後50年間で約4,400万人の子宮頸がんが発症すると心配されています。
従来の局所療法(冷凍療法、電気外科的ループ切除術、レーザー蒸散法等)も保存的ではありますが、出血、感染、不完全切除遺残、子宮狭窄と閉塞、不妊、頸管無力症と早産、性生活QOLの低下等の悪影響が少なからず起きる欠点が指摘されています。またこれらの方法の場合、原病等が消えてもHPV再感染のために再発したケースがあります。そうなれば、子宮全摘が次の選択肢ということになり大変です。結果、少子化に歯車がかかります。産婦人科医療のみならず、国策としても見逃せない状況です。最近の傾向としては20代から増え始め、30代でピークを迎えるのが特徴です。従って子宮頸がんが結婚、出産、閉経を経た40代以上に多かった頃の治療法はおのずと変えなければなりません。
がんは厄介な病気で患者本人だけでなく周囲を巻き込みながら穏やかな日常を奪っていきます。そこで何とか保存的でサステナブルな方法はないものかと30有余年研究してきました。
子宮頸がんを予防・治療する為のポイント
- 原因であるHPVの排除
- 細胞診異常の改善
のいずれかが必要です。
156人の患者での研究結果はHPV消失率84.6%細胞診の改善率98.7%でした。
当初、HPV排除を目指すデザインでしたが、予想外にも細胞診異常の改善が著しく嬉しい誤算でした。
この治療法をSIR(Scrape off & Inflammatory reaction)Methodと名付けました。HPV感染の中心であるSCJを軟スポンジで擦りながら治す方法です。多少の痛みや出血はありますがその有効性を超える副作用はありませんでした。また大規模な設備や経費を必要とせず、発展途上国でも運用出来ます。
費用 | 保険適応外 30万円~120万円 |
※年齢・経過・子宮頸がん細胞診の結果により費用の変動あり
リスク | 主なリスク無し |
副作用 | 下腹部痛、少量出血、軽度の炎症 |
ワクチン
HPVワクチンには予防的なものと治療的なものがありますが、後者は未だに登場していません。前者は高い予防効果が期待されていますが、既に感染している人には無意味です。
又、厳密に言いますと、約200種のHPVの中で国際的に認定されている高リスク型HPVはHPV16、18、31、33、35,39、45,51、52、56、58、59、68型の13タイプがあり稀ですが癌組織から見つかったHPV26、53、66、67、70、73、82の7タイプの計20タイプがあります。最新の9価ワクチンのHPV6、11はがんの原因ではなく尖圭コンジローマの予防目的なので実質がん予防には20-7=13typeのみとなります。この点をちゃんと理解して接種を受けられることをお奨めします。そうでないとワクチン接種を受けた事で油断をし、不用意な接触やもう子宮頸がん検診を受けなくてよいなどと勘違いされてしまう危険性があるからです。
まとめますと男性を含めて早い時期のワクチン接種を受け、20歳からきちんと子宮頸がん検診を受け、ワクチンで防げなかったり、未接種で感染が確認されたら妊娠を希望するか、手術を回避したい場合はSIR-Methodを受け、その希望がない場合には従来の局所療法を受けるという流れが無駄のない選択と考えます。
ケース1 M.S様 31歳
39 日間の治療で治癒
治療日時 | 治療内容 |
R1.2.7 | 都内某クリニック 細胞診:LSIL |
R1.3.9 | 当院初診 HPV(+)index 1)1269.57 子宮頸部 |
R1.8.27 | HPV(+)index 2569.81 子宮頸部 |
R1.9.17 | 区検診 ASC-US |
R2.9.28 | HPV(+)index 1256.28 子宮頸部 |
R2.12.9 | HPV(+)index 173.54 膣壁 HPV Type 16 型 子宮頸部 6 型16 型 膣壁 HLA2) DRB13)遺伝子 Allele14) 040501 Allele2 145401 HLA DQB1 遺伝子 Allele1 040101 Allele2 050201 |
R2.12.16 | 子宮頸がんコントロールプロジェクト治療スタート |
R2.12.28 | HPV(-)index 0.25 子宮頸部 (-)index 0.24 膣壁 |
R3.1.22 | HPV(-)index 0.20 子宮頸部 (-)index 0.17 膣壁 |
R3.2.3 | HPV(-)index 0.20 子宮頸部 (-)index 0.33 膣壁 HPV Type (-) |
ケース2 K.K様 29歳
187 日間の治療で治癒
治療日時 | 治療内容 |
R1.9.13 | UK(英国)某クリニック HPV Type 16.51.52.56 型 |
R2.1.15 | 都内某クリニック 細胞診:classIIIa/LSIL |
R2.7.18 | 細胞診:classIIIa/LSIL HPV(+) |
R2.11.21 | 細胞診:classIIIa/LSIL |
R3.2.6 | 細胞診:classIIIa/ASC-US |
R3.3.29 | 当院初診 |
R3.9.14 | 都内某クリニック 細胞診:classIIIa/LSIL |
R3.10.1 | HPV Type(+) 16 型 |
R3.11.2 | 当院にて HPV (+)index 80.68 子宮頸部 (+)index 867.36 膣壁 Type(+)16 型 子宮頸部 (+) 6 型16 型 膣壁 HLA A Locus 遺伝子Allele1 240201 Allele2 310102 HLA B Locus 遺伝子 Allele1 390103 Allele2 520101 HLA DRB1 遺伝子 Allele1 150101 Allele2 150201 HLA DQB1 遺伝子 Allele1 060101 Allele2 060201 |
R3.11.6 | 子宮頸がんコントロールプロジェクト治療スタート |
R4.6.20 | 細胞診:class II/ NILM HPV(-)index 0.24 子宮頸部 |
R4.7.5 | HPV(-)index 0.26 子宮頸部 |
R4.7.26 | HPV(-)index 0.24 子宮頸部 |
R4.9.27 | HPV(-)index 0.29 膣壁 |
R4.10.14 | HPV(-)index 0.45 膣壁 |
R4.11.5 | HPV(-)index 0.34 膣壁 |
ケース1、ケース2のコメント
HPV type 6は子宮頸がんの原因ではなく尖圭コンジローマの原因となります。
これは肛門性器疣贅(AGW)と呼ばれがん化することはありませんが、前がん状態であるため注意が必要です。これに感染した妊婦から出産した児が小児期になって発生する若年発症再発性呼吸器乳頭症(TORRP)は治りにくく多発し再発を繰り返します。
児への影響は腫瘍そのものによる音声障害や気道狭窄と術後瘢痕による同様の障害があります。母児ともに精神的ダメージを考えると何とかしなければなりません。SIR methodでは原因HPV6の排除により上記のリスクを前もって回避することが可能です。
ケース3 O.N様 33歳
37 日間の治療で治癒
治療日時 | 治療内容 |
H31.1.19 | 妊娠13 週4 日 細胞診:classII/NILM HPV(+)index 2716.66 子宮頸部 |
R3.7 | 出産 |
R4.3.28 | 当院区検診 classII/NILM HPV(+)index 18.71 子宮頸部 |
R4.4.18 | HPV(+)index 32.56 膣壁 HPV Type 58 型 子宮頸部 HLA5) A Locus 遺伝子Allele1 020701 Allele2 240201 HLA B Locus 遺伝子Allele1 152701 Allele2 460101 HLA DRB1 遺伝子 Aleele1 080302 Aleele2 090102 HLA DQB1 遺伝子 Aleele1 060101 Alleele2 030302 |
R4.4.25 | 子宮頸がんコントロールプロジェクト治療スタート |
R4.4.28 | HPV Type 58 型 膣壁 |
R4.5.12 | HPV(-)index 0.18 子宮頸部 HPV(-)index 0.19 膣壁 |
R4.5.26 | HPV(-)index 0.19 子宮頸部 HPV(-)index 0.20 膣壁 |
R4.6.15 | HPV(-)index 0.22 子宮頸部 HPV(-)index 0.20 膣壁 |
ケース4 H.S様 50歳
44 日間の治療で治癒
治療日時 | 治療内容 |
R3.8.26 | 都内某クリニック 細胞診classIIIb/HSIL |
R3.10.26 | 細胞診classIIIb/HSIL/CIN2 |
R3.11.16 | HPV Type16.18 型以外 |
R4.3.24 | 細胞診classIII/ASC-H |
R4.6.24 | classIIIa/ASC-US |
R4.11.1 | classIII/ASC-H |
R5.4.11 | classIII/ASC-H |
R5.6.21 | 当院初診 |
R5.6.23 | 子宮頸がんコントロールプロジェクト治療スタート HPV(-)index 0.23 子宮頸部 (+)index 1.39 膣壁 HPV Type 子宮頸部・膣壁不明 HLA A Locus 遺伝子Allele1 240201 HLA B Locus 遺伝子Allele1 070201 Allele2 460101 HLA DRB1 遺伝子 Aleele1 040301 Aleele2 080302 HLA DQB1 遺伝子 Aleele1 060101 Alleele2 030201 |
R5.7.1 | HPV(-)index 0.18 子宮頸部 |
R5.7.26 | HPV(-)index 0.63 子宮頸部 HPV(-)index 0.32 膣壁 細胞診classII/NILM |
R5.8.12 | HPV(-)index 0.43 膣壁 |
R5.9.1 | HPV(-)index0.45 膣壁 |
ケース5 N.N様 52歳
36 日間の治療で治癒終了
治療日時 | 治療内容 |
H27.11.18 | 福岡某クリニック 細胞診 中等度異形成 |
H29.3.16 | 細胞診 中等度異形成 |
H29.4.25 | 冷凍療法 実施 |
H29.8.22 | 細胞診 軽度異形成 |
H29.10.25 | 某がんセンター 細胞診 LSIL 軽度異形成 HPV Type 16.33.56.58 型 |
R3.12.8 | 細胞診 HSIL 中等度異形成 |
R5.6.30 | 当院初診 |
R5.7.3 | HPV(+)index31.27 子宮頸部 (-) index0.36 膣壁 HLA A Locus 遺伝子Allele1 020101 Allele2 240201 HLA B Locus 遺伝子Allele1 3904 Allele2 590101 HLA DRB1 遺伝子 Allele1 040501 Allele2 080302 HLA DQB1 遺伝子 Allele1 060101 Allele2 040101 子宮頸がんコントロールプロジェクト治療スタート |
R5.7.18 | HPV(-) index0.57 子宮頸部 細胞診:ClassII/NILM |
R5.8.8 | HPV(-) index0.18 子宮頸部 |
R5.9.1 | HPV(-) index0.48 子宮頸部 |
細胞診 | 旧分類 (クラス分類) | Ⅰ | Ⅱ | (Ⅱb) | Ⅲa | Ⅲb | Ⅳ | Ⅴ | |
Ⅲ | |||||||||
新分類 (Bethesda System) | NILM | ASC-US | ASC-H | ||||||
LSIL | HSIL | SCC | |||||||
AGC | AIS | Adenocarcinoma Other malig | |||||||
組織診 | Richart分類 | CIN1 | CIN2 | CIN3 | |||||
子宮頸癌 取扱い規約 | 軽度 異形成 | 中等度 異形成 | 高度異形成 | 上皮内癌 | 微小浸潤偏平上皮癌 浸潤扁平上皮癌 |
細胞診 旧分類
- クラスⅠ:正常
- クラスⅡ:良性変化(生理的変化、炎症など)の疑い。癌の可能性は極めてまれ。
- クラスⅡb:良性変化を疑うが、異形成(前がん病変)も否定できない。
- クラスⅢa/Ⅲb:異形成の疑い。癌の疑いが少しある。
- クラスⅣ:上皮内がんの疑い。浸潤がんの疑いもある。
- クラスⅤ:がん(浸潤がんの疑い)新分類 日本産婦人科医会、厚生労働省は2013年から、ベセスダシステムのみの使用を求めている。
- NILM:非腫瘍性所見、炎症。がん検診としては「異常なし」
- ASC-US:軽度の扁平上皮系の異形があるが病変を推定するのは難しい
- ASC-H:高度の扁平上皮系の異形があるが病変を推定するのは難しい
- LSIL:HPV感染、軽度異形成を推定
- HSIL:中等度異形成、高度異形成、上皮内(扁平上皮)がんを推定
- SCC:扁平上皮がんを確定
- AGC:腺異形または腺がん疑い
- AIS:上皮内腺がんを推定 Adenocarcinoma:腺がんを推定 +
- Other malig:その他の悪性腫瘍を推定組織診 Richart分類
- CIN1:軽度異形成 CIN2:中度異形成 CIN3:高度異形成、上皮内癌
以上、子宮頸癌コントロールプロジェクト(SIR-Method)に要した治癒日数の平均は78.9日でした。
- index 指標(数)で感染の度合いを表しています。
- HLA (ヒト白血球抗原)
臓器移植や輸血で拒絶や不適合の有無の判断に用います:DRB1, DQB1
HLAにはクラスⅠ、Ⅱ、Ⅲがありその中のclassⅡの分子:Allele アレル
父母の各々に由来する1対の対立する染色体の指定席を遺伝子座:アレルという。HPV感染後、その殆どが自然に排出されるが、排出できないがん進展は遺伝子由来かを確認する目的で検査しています。
A、B locus:HLAのclassⅠに属する分子